看護師の復職ガイド|ブランクからの手順と研修・奨励金などの公的支援
執筆:メディカルクルー編集部(運営:株式会社CentralMedience/有料職業紹介事業 許可番号 13-ユ-316075)
しばらく看護の仕事を離れていると、今の現場に戻れるだろうかと迷う方もいると思います。
看護職の復職には、国や都道府県による無料の相談や研修があります。支援を使いながら、一歩ずつ準備を進めていきましょう。
この記事では、復職の始め方から、東京都・神奈川県の研修と奨励金、職場の選び方、履歴書・面接の準備までを、公的機関の資料をもとにまとめました。
目次
ブランクから看護師に復職するには?何から始めるか
ブランクからの復職は、たとえば次の順で進められます。
- 働ける曜日・時間と、常勤か非常勤かの希望を書き出す
- お住まいの都道府県のナースセンターに相談する
- 復職支援研修で、知識や手技を確かめる
- 求人を探し、勤務条件と入職後のサポートを確かめる
- 履歴書・面接の準備をする
ナースセンターは、今すぐ働く予定がなくても相談を受け付けています。
東京都の就業・定着奨励金を使う予定の方は、順番に注意が必要です。東京都の復職支援研修は内定中の方は受けられず、奨励金は対象研修を受けた後の就業が対象です。研修を先に受け、内定・就業はその後になるようにしましょう(東京都の支援で詳しく紹介します)。
復職が不安なのは、あなただけではありません
復職が怖い、自信がないと感じている方もいると思います。厚生労働省が2010年から2011年にかけて行った「看護職員就業状況等実態調査」では、看護職員として働いていない人のうち、看護職員として働きたいと答えた1,085人が再就職に抱く不安は、「最新の看護の知識・技術に対応できるか」(33.4%)と「家事・子育てと両立できるか」(32.6%)が多く、「不安はない」は3.0%でした。
知識・技術の不安は、離職期間が長いほど多く、1年未満では21.3%、5〜10年未満では47.1%でした。再就職時の研修を「希望する」と答えた人は76.1%です。
同じ調査では、すぐに復職しない理由も尋ねています。就職を希望しながら求職活動をしていない人(790人、主な理由3つまで)で最も多かったのは「急いで仕事につく必要がない」(38.2%)で、「家事・育児のため仕事が続けられそうにない」(35.6%)、「看護業務から離れていたことによる不安がある」(31.3%)が続きます。
調査は10年以上前のもので、今とは状況が違う点もあります。
出典:厚生労働省「看護職員就業状況等実態調査結果」(2011年3月公表)表26・表29・図23・図26
まずはナースセンターへ:相談・届出・無料の職業紹介
都道府県ナースセンターは、法律に基づいて都道府県ごとに置かれ、看護職への研修や相談、無料の職業紹介を行う機関です。東京都では東京都ナースプラザ(ナースバンク東京・立川)、神奈川県では神奈川県ナースセンターが窓口です。
離職時等の届出
看護職の免許を持ちながら仕事に就いていない方は、氏名や連絡先などを都道府県ナースセンターに届け出るよう努めることとされています(届出は努力義務です)。届け出ると、ナースセンターから研修や仕事の情報を受け取れます。
届出は、看護師等の届出サイト「とどけるん」から行えます。インターネットを使えない場合は書面でも届け出られます。届出の際に希望すれば、無料職業紹介サイト「eナースセンター」への求職登録も同時にできます。
相談と無料の職業紹介
ナースセンターでは、看護職の相談員が、働く場所や時間などの希望をもとに仕事探しを手伝います。来所のほか、インターネットでも利用できます。ナースセンターが遠い方は、ハローワークで行われる相談員の巡回相談も使えます。
支援の内容は都道府県ナースセンターによって異なります。
出典:e-Gov法令検索「看護師等の人材確保の促進に関する法律」第14条・第15条・第16条の3、厚生労働省「ブランクを経て働く」、日本看護協会「離職中の看護職の皆様の復職をサポート」
東京都で受けられる復職支援
東京都ナースプラザの復職支援研修
東京都の復職支援研修は無料で、3つのコースがあります(令和8年度)。病院・施設体験コースは、東京都看護協会への委託により東京都ナースプラザが実施し、学校に戻って体験コースは都立看護専門学校で行われます。
| コース | 内容 | 申込先 |
|---|---|---|
| 病院体験コース | 病院で講義・手技演習・病棟実習。3日コースと1日随時コース | 東京都ナースプラザ |
| 施設体験コース | 診療所・訪問看護ステーション・介護老人保健施設などで研修。3日コースと1日随時コース | 東京都ナースプラザ |
| 学校に戻って体験コース | 都立看護専門学校の模擬病棟や実習室で、採血・点滴静脈内注射などの看護技術を学び直す | 各学校 |
対象は、保健師・助産師・看護師・准看護師のいずれかの資格を持ち、離職中で就業先が決まっていない、都内での就職を希望する方です。病院・施設体験コースは全日程に出席できることが条件で、1日だけの随時コースもあります。なお、内定が出ている方や、看護師として非常勤・アルバイトで働いている方は受講できません。
どのコースも、申込みの前にeナースセンターへの登録が必要です。病院体験コースでは、施設によって受講前に抗体価検査などが必要で、その費用は自費になります。保育施設を使える研修施設もあります。
このほか東京都ナースプラザでは、離職中の看護職向けに「再就職へのステップ3日間研修」や、採血・点滴静脈内注射、急変時の看護などテーマ別の再就業支援研修(東京・立川)も行っています。オンラインやオンデマンドで開催する研修もあります。
「復職で最大20万円」は、東京都の就業・定着奨励金のこと
復職支援で「最大20万円」と紹介されているのは、東京都の就業・定着奨励金です。研修費の補助ではありません。東京都ナースプラザの対象研修を受けた後に都内で看護職として就業し、続けて働いた方が本人で申請する奨励金で、就業から6か月で5万円、就業から2年で15万円(それぞれ1回)、合わせて最大20万円です。
| 項目 | 主な要件 |
|---|---|
| 対象研修 | 東京都ナースプラザの再就業支援研修・復職支援研修(学校に戻って体験コースを含む)・プラチナナースセミナーのいずれか |
| 就業の時期 | 研修を修了した翌日から1年以内(令和10〔2028〕年6月までの就業に限る) |
| 就業先 | 都内の病院・クリニック・訪問看護ステーションなど |
| 働き方 | 1施設で1週間の所定労働時間20時間以上(雇用契約などで決まった時間) |
| その他 | eナースセンターに登録していること。免許を取ってから一度も看護職として働いたことがない方は対象外 |
研修と就業の順番が逆になると、支給の対象になりません。対象研修を所定の時間(研修時間の5分の4以上)受講すると「受講証明書」が発行され、申請のときに写しを提出します。原則として再発行されないため、2年後の申請まで大切に保管しましょう。仕事探しの方法は問われず、ナースバンクやハローワークなどを通じた就業も対象です(令和8年度版ガイドブック)。申請は、6か月または2年が経った日から6か月以内に、郵送で行います。
現在の事業は、令和7(2025)年4月から令和10(2028)年3月までに受けた対象研修が対象です。対象期間や要件は変わることがあるため、申請を考えている方は、東京都ナースプラザの就業・定着奨励金専用ダイヤル(03-6304-2611)で最新の情報を確かめましょう。
区市町村の研修もあります
大田区のように、区内の病院で無料の復職支援研修を行う自治体もあります。ただし、奨励金の対象研修は上の表の3種(学校に戻って体験コースを含む)に限られ、区市町村や神奈川県の研修は対象になりません。
出典:東京都保健医療局「東京都看護職員地域確保支援事業(看護職復職支援研修)」「看護職員等再就業支援事業」、東京都ナースプラザ「復職支援研修」「就業・定着奨励金事業」「受講証明書について」「ナースプラザ研修」、大田区「看護職復職支援研修」(いずれも2026年10月26日確認)
神奈川県で受けられる復職支援
神奈川県ナースセンター(神奈川県看護協会)は、復職支援研修やeラーニングを無料で行っています。看護協会の会員でなくても参加でき、研修は雇用保険の求職活動実績として認められます。主な支援は次のとおりです(2026年度)。
| 支援 | 内容 | 対象 |
|---|---|---|
| 復職支援研修 | 回ごとにテーマを変えた講義と演習(電子カルテ超入門、急変時の対応など)。会場は横浜市中区の研修室 | 離職中で就業先が決まっていない、県内での就業を希望する方 |
| eラーニング研修 | 学研の教材を自宅で3か月視聴。ブランクの長さ別・就業先別のコースを選べる。各期先着140名(2026年度は11月申込の第5期が最終) | 就職活動中で、県内での就業を希望する方 |
| 採血の自己学習会 | DVDで学んだあと、モデルで採血を演習 | 県内で働いている方、県内での就業を希望する方 |
| ハローワーク連携セミナー・見学会 | 県内各地のハローワークと連携した、復職や就業を支援するセミナーなど | ハローワークを活用して働くことを考えている方 |
| 横浜市看護職員復職後フォローアップ研修 | 復職後の知識・技術の再確認と、職場に慣れるためのサポート | 横浜市内の医療機関等に復職して、おおむね2年以内の方 |
いずれも資格を持っていることが前提で、復職支援研修とeラーニングはeナースセンターへの登録も必要です。申込みは神奈川県看護協会の研修申込サイトから行い、初めての方はユーザー登録をします。通信講座のように自宅で学びたい方は、eラーニング研修が使えます。ほかの地域にお住まいの方は、自宅で受けられる研修があるか、各都道府県ナースセンターに確かめましょう。県内の医療機関が行う復職支援研修や見学会も、同じページで案内されています。
出典:神奈川県看護協会「研修・セミナー・見学会」「看護職復職支援 e-ラーニング研修」(2026年10月26日確認)
復職先の選び方:求人と面接で確かめたいこと
常勤と非常勤のどちらで戻るかは、人それぞれです。応募する前に、求人票や面接で次の点を確かめておきましょう。
- 雇用形態と、勤務する曜日・時間・日数
- 夜勤の有無と回数
- 通勤にかかる時間
- 入職後、ブランクのある人にどんなサポートがあるか
- 働く場所の種類(病院、クリニック、介護施設、訪問看護など)
2010年の同じ調査では、離職期間1年以上で再就職した人(3,094人、主な理由3つまで)が再就職先を選んだ理由は、「通勤が便利だから」(56.5%)、「勤務時間が希望に合っているから」(51.0%)が多くなっていました(図26)。東京都の奨励金を使う予定の方は、1施設で週の所定労働時間が20時間以上になるかも確かめましょう。雇用契約や就業規則で決まった時間で判断され、実際に働いた時間ではありません。
働く場所ごとの役割は「看護師が働く場所の種類」、病棟以外の職場は「病棟以外で看護師の資格を活かせる職場」も参考にしてください。
働き方の希望が見えてきたら、求人を眺めてみませんか。常勤・非常勤で絞り込めます。
看護師の求人を見てみる履歴書・面接・免許証の準備
履歴書・職務経歴書
退職の理由は「出産のため退職」のように、事実を簡潔に書けば十分です。離れていた間に受けた研修や講座があれば、免許・資格欄に書いておくとよいでしょう。研修は資格ではないため、免許の後に「修了」と書いて区別します。
書き方の例
令和○年○月 東京都ナースプラザ 復職支援研修(病院体験コース)修了
詳しくは「看護師の履歴書の書き方」、ブランクのある方の例文は「看護師の職務経歴書の書き方」で紹介しています。
面接
離れていた期間のことは簡潔に伝え、今働ける曜日や時間と、復職に向けて取り組んでいることを添えます。回答例は「看護師の面接でよく聞かれる質問と回答例」で紹介しています。
免許証
結婚などで氏名や本籍地の都道府県が変わり、看護師籍(准看護師は准看護師籍)の訂正がまだの方は、早めに申請しましょう。免許証は、記載事項が変わったときは書換交付を、なくしたときは再交付を申請できます。准看護師の方は、免許を受けた都道府県が申請先です。
出典:厚生労働省・ハローワーク「履歴書・職務経歴書の書き方」掲載の「応募書類の作り方」p.6、e-Gov法令検索「保健師助産師看護師法施行令」第3条(籍の訂正は30日以内に申請)・第6条・第7条
応募先選びは、メディカルクルーに相談しながら
メディカルクルーでは、看護師・准看護師の求人を、東京都・神奈川県を中心に掲載しています(2026年10月時点)。
ヒアリングでは、この記事の「求人と面接で確かめたいこと」で挙げた働ける曜日・時間や夜勤の有無、入職後のサポートへの希望をお伝えください。東京都の対象研修を受ける予定がある方は、その時期もお知らせください。
- ご登録必要事項を入力して送信してください。
- ヒアリング勤務地や雇用形態などのご希望、スキルなどをお聞かせください。
- 求人探し気になる求人にお問い合わせいただくか、アドバイザーがご要望に沿った求人をご紹介します。
- 採用面接ご希望の方は、面接会場まで同行します(エリアにより同行できない場合があります)。
- 入職お仕事開始後も、専任スタッフがアフターフォローします。
東京都の就業・定着奨励金は、仕事探しの方法を問いません。奨励金を使う予定の方は、東京都ナースプラザの対象研修を先に受け、研修の翌日から1年以内に就業する順番で進めましょう。
復職の時期がまだ決まっていない方も、まずはご希望をお聞かせください。
無料で会員登録するよくある質問
1年間仕事を離れた後でも、看護師に復職できますか?
離職して1年ほどの方も、ナースセンターに相談できます。東京都・神奈川県の復職支援研修も、離職中で就業先が決まっていないなどの要件を満たせば受講できます。休職中で勤め先に籍がある方は、まず復帰の時期や働き方を勤め先と相談しましょう。体調が理由で休んでいる場合は、主治医とも相談しながら考えましょう。東京都・神奈川県の復職支援研修は離職中の方が対象のため、休職中の方は受講できない場合があります。
復職支援研修にお金はかかりますか?
東京都ナースプラザの復職支援研修と、神奈川県ナースセンターの復職支援研修・eラーニングは無料です。東京都の病院体験コースでは、研修施設によって受講前に抗体価検査などが必要になり、その費用は自費です。
東京都以外にも、20万円のような復職の支援金はありますか?
この記事で一次資料を確認できたのは、東京都の就業・定着奨励金です。支援の内容は都道府県によって異なるため、お住まいや働きたい地域の制度は、各都道府県ナースセンターで確かめましょう。
まとめ
- まずは都道府県ナースセンターに相談し、届出やeナースセンターの登録をしておくと、研修や仕事の情報を受け取れます
- 東京都・神奈川県には無料の復職支援研修があり、東京都では、研修の後に都内で就業し、要件を満たすと、最大20万円の奨励金を申請できます
- 応募の前に、勤務時間や入職後のサポートを求人票と面接で確かめましょう
ブランクがあっても、公的な支援を使いながら一歩ずつ準備できます。働き方や応募先に迷ったときは、メディカルクルーにご相談ください。



